俺テレビ持ってないの。
だから香取くん主演の座頭市、今日知ったの、笑ってちょうだいな。
別に香取くんがさ、市やるのはもう文句言わんよ。
いかんせんボリューム不足な感と貫禄が足らないのはいいよ。
あれで、何で若い頃とかいう設定にしないのか、その辺りが意味わからないのもいいよ。アレでラストとか言い切っちゃうのもいいよ。
でもさ、なぁ、なんで市でさ「恋愛映画」にする必要あるのかなと思ったわけ。あれってもう今時のラブストーリーじゃない。時代劇と呼べないよ全く以て。「ICHI」の時もそうだけど、なんで恋愛要素入れたがるんだろうね?別にさ、恋愛はあっていいんだよ。勝新が監督した奴もそういうのはあったんだよ。確か濡れ場もあったかも。
勿論エンターティメントで恋愛やらない方がどうかしてるだろうさ。
でも、れっきとした時代劇としての恋愛モノなわけよ。
そもそも座頭市の恋愛ものなんて艶があってもさ、上品になるわけないじゃん。そう言う意味での「今時のラブストーリー」って言ってるんです。
香取くんや石原さとみでうねるような熱い濡れ場をご披露できますか?
いや、そうでなくともしっとりとした恋愛を空気を作り出せますか?
出来ないでしょう?だって予告で散々言葉に出して語ってるんだもん。
勝新はそれが出来たんだよ。
あの人はしっとりとした恋愛劇だろうが、うねるような熱い濡れ場だろうが出来た。たけしはそう言うのは絶対に絵にならないって自分でわかってたから非道な人殺しの市に徹したんだよ。
香取くんがそう言うのに向かないのはわかるとしても、だからって今時のラブストーリーに仕立てなくていいじゃんって、それも座頭市でだよ?「ICHI」でさんざんやってダダ滑りしてんのにさ。
俺、アレはないとか思ったモン。
だったら香取くんがひたすら暴れててくれた方がいいよ。それだったら観に行ったよ。病院のテレビでちょっと見に行こうかなって思って、今日帰ってきて予告観たら、泣けたよ。
いや、何でこんな話したかというとさ、もうひとつあるんです。
「死刑台のエレベーター」が日本でリメイクされるわけジャン?
アレの予告も酷いよ?全く原作の陰鬱な恋愛劇の雰囲気がなくなってるじゃない。
不思議なんだよね?今の日本映画って「愛」って言葉いれないと絶対成立しないんだよね。宣伝もやたら強調するんだよね。アレ不思議でね。
それでいて、つまらないんだよね。あんだけ「愛・愛」言われたら行く前から醒めるよ。恋愛映画だったらいちいち語らなくて言いじゃないって。
宣伝時にやたらそれ強調するし、それを語るよね。
逆に言うと「愛」という言葉以外で、映画を語る言葉が今の日本の映画にはないんだなって思ったんだよ。ありえないじゃん、それ。
でも「愛」って言葉以外では全く語れなくなった。だから必ず「愛・恋愛」がないと成立しない。
でも、その「愛」って言葉の内実も、実にボキャブラリーがないんだぜ?
最近の映画のキャッチコピー……特に恋愛映画なんか、逆にない方がいいんじゃないか?ってくらい皆似たようなもんばっかなんだよ。日本の恋愛観ってこんなモノなのかって思うくらいボキャブラリーに欠ける。
だから死刑台のエレベーターのリメイクもあんな……うぅぅ。
フランス映画独特のあの陰鬱な匂いが全くないじゃないの!!!!
そんくらい、なんでも恋愛要素入れないと日本映画が成り立たないのかとか思います。でも濡れ場はない。男と女が燃えたぎるような熱い恋愛をするならば濡れ場は必要だよ、大いに必要だよ!!!でもやってないじゃん!最近の映画は!井筒監督だって最新作はきちんとやってんだよ!押井監督だってアニメでもきちんとやったんだからよ!!そういう部分で今の日本映画の「恋愛」ってやつが薄っぺらく思えてさ。
だからそう言うモノを「座頭市」に持ち込むなって言いたくなったの。
それはともかく、今回の奴観て、改めてたけしの座頭市が如何に凄いかよくわかった。座頭市はやっぱ勝新の映画だよ。勝新以外あり得ないんだよ本来。そう言うキャラにもう仕上がっちゃってるんだから。
俺は実はそこまで観てないんだよ、座頭市って。
初期の頃の幾つか見たけど、初期のはもう観れたもんじゃないから。それは自分が今の映画のリズムやテンポやカメラワークになれてるからとてもじゃないけど初期まで来ると観れない。斬ったときの効果音も無いし。その程度のことなんだけどさ。
一番好きなのは評価の分かれる最後の作品の方。
あれから入ったってのもあるけど、アレが市だと思った。
あの既に老獪に入って、貫禄が増して若いときよりも更に野性的になったあの老いた市が本物。
たけしのはファンから言わせれば異端も異端なわけ。
どうかんがえても野性的で貫禄がある勝新と比べて、「妙に胡散臭いおっさん」にしかみえないわけ。だから金髪で正解。アレで「トコトン胡散臭い」親父になった。
たけしの座頭市って最後のタップダンスが注目されがちだけど、あの映画オリジナルより相当殺伐としてるよね。何でかって言うとたけしの演じる市は冷酷無比なんだよな。逃げる奴延々と追っかけて殺すような奴なんだよ。
それでいてまるで感情も何もない。元々あの人の映画の暴力自体がドライなんだけど、ホントあの座頭市はドライだよね。勝新だってそこまでやれなかったよ。たけしの市は冷え冷えとしてて乾いてる。だから途中のくだらないギャグもラストのタップダンスも活きてるんだよね。あれがないと、いつものたけしの暴力映画にしかならない。
その絶妙なバランスを作れたから、たけしの座頭市はオリジナルと対等になれたんだよね。初めっから出来もしないことはやらないって、オリジナルとは全く違う座頭市やってるんだよね。
普通はあぁはならないと思う。
今まで散々リメイクだの何だの観てきたけど、やっぱ過去の作品に引きずられたりするし、そうかといって今時の要素も入れなきゃイカンし、そうなると普通は今回の座頭市みたくなるよ、どうやっても。
香取くん大好きだけど、あれ絶対残らないよ映画としては。
オマケに馬鹿正直に二黒髪だしね。金髪の方が似合うんだからそうすればいいじゃないって(笑)。
なんというか、ホントね、リメイクするならもっとケンカしろって思うね。
観る側と、オリジナルのファンと、あと色々さ(笑)、そう言うのとケンカしてオリジナルをぶっちぎるリメイク作れよって言いたくなるよ。
リメイクなんてそもそもが割の合わない勝負なんだから。初めから負け戦なんだからせめて雄々しく戦ってくれと言いたくなるよ。